あらすじ:コロラド州の雪山に佇むひとつのホテルに、冬季閉鎖中の建物管理を任された一家がいた。雪に囲まれた孤独な生活に苛まれた一家の主人は、妻子を殺害後に猟銃自殺を遂げた。再び雪の季節が近づいた頃、新たな管理者であるジャック・トランス一家がホテルにやってきた。そして彼らにもホテルの魔の手が……。

映像で魅せるホラー映画の傑作

 泣く子も黙る名監督・スタンリー・キューブリックの代表作のひとつ。キューブリック作品は『博士の異常な愛情』しか観たことがなく、それがイマイチよくわからなかったので、以降は意図的に避けてきた。でも最近「名作と言われている映画はだいたい観ておこうかな病」が久しぶりに発症したため、観賞。結論から言えば、これもよくわからなかった(笑)。

 いや、『博士の—』に比べれば単純明快である。要するにサスペンスホラーっすよね。アルフレッド・ヒッチコックの『サイコ』をもっとホラー寄りにした感じの。だけど私はもともとホラーの類があまり得意ではなく、本作もその苦手意識を覆すほどのものではなかったかな……といったところ。

 自分はサスペンスが大好物なのに、なぜホラーが得意ではないのか。ずっと疑問だったが、今回『シャイニング』を観てなんとなくわかった気がした。サスペンスは現実をベースにしているのに対して、ホラーは超常現象がベースだから、身近に感じられないんだね。生きていれば誰しも1度くらいは刃物で痛みを感じたことがあるから、包丁を向けられた時の恐怖は容易く想像できる。しかし幽霊と出くわしたり呪われたりした経験はないので、幽霊や呪いの恐怖はよくわからない。だから幽霊だの呪いだのといった超常現象を扱うホラー映画にはなかなかノることができないのだ。

 超常現象がベースなだけあって、物語の芯の部分が説明されないのも不満だ。結局のところジャックがおかしくなってしまった理由は謎である。昔の管理者は孤独感に苛まれて狂ったらしいが、ジャックにはそんな描写はなく、いきなり憔悴した顔になる。そもそも孤独感に苛まれ——ってのはあくまで憶測で、前の管理者が狂った理由も本当のところはわからない。つまり彼らがおかしくなったのは曰くつきのホテルのせい。呪いとか幽霊とかそういう類の超常現象だから、説明はありません。説明しないからこそ成り立つ映画なのだろうが、私は説明がほしいのだ。

 そんなわけで物語的にはかなり不満なのだが、映像作品としては実に素晴らしいねえ。カメラワークだの演出だの演技だの、もう眼に映るものすべてが最高に素晴らしいぜ。「これは超常現象だから説明できないのだ」で押し切るには充分すぎるほど充分。やっぱり映画は映像が命。映像にさえ説得力があれば物語にノれなくても大丈夫だということをこれでもかと教えてくれる傑作である。

 個人的に好きか嫌いかというと普通に嫌いだし面白いかと問われると困るが、映像作品としては間違いなく最高レベルの映画だろう。ホラー好きで気になっている人がいれば絶対薦めるわ。

last up:2018/08/16