実写版 破裏拳ポリマー

公開

あらすじ:過激化する組織犯罪に対抗するべく開発された特殊装甲スーツ・ポリマースーツ。高い攻撃力と機動力に加え、重火器を無効化する驚異の能力を備えたこのスーツのプロタイプが、何者かの手によって犯罪組織に流れ、日々悪質な犯罪に利用されていることが判明した。この事態に立ち向かえるのは完全版のポリマースーツと、その能力を解放するのに必要な“声”を持つ人物のみ。その人物とは、世界ではストリート・ファイターとして、日本では探偵として活動している破裏拳流拳法の使い手・鎧武士であった——。『科学戦隊ガッチャマン』『人造人間キャシャーン』を製作したタツノコプロによる同名人気アニメの実写版。

日本流の特撮アクションも結構イケる!?

 1970年代に立て続けに名作アニメを世に送り出し、2000年代以降はそれを立て続けにトンデモ実写化していることで知られるタツノコプロ原作の映画。一報を聞いた時は、また茨の道を……と思った人は多いはず。私も『CASSHERN』と『ガッチャマン』を観てどちらもイマイチに感じたので今回もあんまり期待せずに観たんだけど、意外とイイです!

 何がイイかっていうとやっぱりアクション・シーン。カメラワークもイイしテンポもイイし、アクションもカッコいい。そら海外で大枚叩いて撮られたものと比べるとちょっとチープ感はあるけど、日本の特撮流のアクションをしっかり観せていて、これはこれで面白い! って思える。監督(坂本浩一)はスタントマンや監督として海外から国内まで広く特撮作品に関わっている人で、特撮ファンの間では有名らしい。特撮に明るくない私は寡聞にして存じ上げなかったけれど、経歴を調べて「やっぱり経験の深い人が撮ると違うんだなあ」と感じたくらいアクションが良かった。

 ネットを見ると「溝端淳平のアクションがイマイチ」と言っている人も多いが、個人的には彼のアクションも良かった。ぶっちゃけ始まってすぐのストリート・ファイトだとペチペチした音が聞こえてくるようなアクションでいきなりヤベーと思ったけれど、その後はまったく問題ナシ。ここまでできるなら最初のシーンも撮り直しすればいいのに! って思ったぐらい。公開前のスペシャル映像でもこのシーンは使われていて、あそこでズコーッとなった人もいるかもしれないけど、それで観ない選択をするのは惜しいと思う。

 舞台設定はテレビアニメ放送時の日本と2000年代〜2010年代の日本に近未来的要素を足したゴチャ混ぜパラレルワールド。1970年代登場のデボネア・エグゼクティブSEと思われる車と2000年代のYAMAHA YZF-R1らしきバイク、1990年代のアンテナ付きの携帯電話、2010年前後のノートパソコンや薄型デスクトップPCなど、目に見えるものの年代はだいたいバラバラ。シャレた感じでイイなと思う反面、テクノロジーがどれくらい進化している時代なのかを把握しづらい欠点も感じた。例えばVHSが出てきた時はまだVHSが現役の世界なのかなと思ったけれど、そのあとすぐに今時ビデオテープってなに?ってセリフが出てきて、やっぱ古いんかい! と思ったり。無用な混乱を招くところはあったかも。

 ストーリー面もとっちらかってる部分が多くて、例えば鎧武士(溝端淳平)が稗田玲(原幹恵)を悪玉側の人間ではないかと訝ってこっそり彼女に監視カメラを仕込むという展開があるが、武士が玲を訝った理由がなかなか謎である。いや、一応ポリマースーツにまつわる事件の首謀者とされる鬼頭剛三(木村圭作)と一緒にVHSに映っていたからという説明はあるんだけど、監視カメラを仕込む前にはまだそのVHSは発見されていないんだよね。事前に情報が提示されていないので、伏線というよりは後出しっぽくなっていたところがある。武士の友人・バレット・ウォン(出合正幸)の存在も取ってつけた感が強かったなあ。

 あとテル(柳ゆり菜)が考え事をする時に唇に指を当ててグニョグニョする癖とか、武士が最後にダイアローグコード——ポリマースーツの能力を解放する時に必要な音声コマンド——なしでパワーアップしたり鳥に変形したりしたのも特に説明がなくて、あれなんだったんだろ? って疑問に思った。原作だとポリマースーツはいろんな形に姿を変えられるらしいから鳥への変形は原作に沿ったものなんだろうけど、他は? テルの唇グニュグニュ演出はいちいちどアップで映されるので、あんまり何度もやられるとちょっとくどいし、セクシーを通り越してちょっと気持ち悪……と思わんこともなかった(ごめん)。

 あと個人的には禁断の果実の比喩としてリンゴを丸かじりする演出は正直やめてほしい(笑)。2015年公開の映画『進撃の巨人 ATTACK ON TITAN』でも同様の演出があって散々な言われようだったけど、『破裏拳ポリマー』はそれからさらに2年後の2017年に公開された映画ですからね……。STOP禁断の果実。

 設定上は盗まれたポリマースーツは3体あることになっているが、作中で回収されたのは1体のみ。たぶん続編を想定してあえて回収しなかったんだろうけど、興業的には振るわなかったっぽいので続編は厳しそう。でも私は好きですよ、これ! 前述したように特撮の流れを汲んだアクションは結構イカしていたし、この手の実写映画でアンバランスになりがちな変身スーツもなかなかキマっていた。ツッコミどころがないことはないけれど、総合的に見るとかなり好感が持てました。

 邦画のアクションものを観ているとハリウッドへのコンプレックスが受け取れることもあるんですが、『破裏拳ポリマー』は日本流の特撮へのプライドが感じられて、そこもまた良かったです。ただ、どことなく予算的に余裕がなかったんじゃないかなとも思ったりしたので、今度は坂本監督が思い切り自由に作ったヒーロー映画を観てみたいです!

破裏拳ポリマー 通常版 [DVD]

オフィシャルDVD&配信(Blu-rayも有)

OVA 新 破裏拳ポリマー [DVD]

監督:新房昭之、出演:置鮎龍太郎,青野武,宮村優子

関連エントリー

New Entries