大脱出

公開

あらすじ:刑務所からひとりの男が脱走した。その名はレイ・ブレスリン。彼は民間の警備会社・B&Cセキュリティに所属するセキュリティ・コンサルタントで、全国津々浦々の刑務所に受刑者として潜り込んでは警備のスキを突いて脱走し、管理の不備を指摘する“脱獄のプロ”だ。次なる仕事はCIAが極秘開発中の収容施設。そこは危険人物を裁判を待たずして投獄し社会的存在を抹消することを目的とした非合法なもので、所在地は完全に非公開だという。B&Cセキュリティの仲間たちは危険すぎると難色を示すが、レイは興味をそそられて依頼を受けることに決める。だが、彼を待ち受けていたのは想像をはるかに超えた監獄だった!

公式が宣伝で結構なネタバレをしていた話

 2014年に公開されたアメリカ映画。日本でも馴染み深いシルベスター・スタローンとアーノルド・シュワルツェネッガーのムキマッチョコンビ映画とあって、国内でもそれなりに宣伝に力を入れていた記憶がある。私もTV CMを見て気になっていたのだが、映画館に行く習慣がないので結局は観なかった。そして公開から5年が過ぎてようやく観賞したというわけ。

『大脱出』日本版予告

 CIAからの依頼を受けて所在地不明の刑務所に向かうことになったレイ・ブレスリン(シルベスター・スタローン)だが、その道中で見知らぬ男たちに車で拉致され、意識を失ってしまう。意識を取り戻した時には360度透明な板で囲われた独房におり、周辺には同じく透明な独房におかれた受刑者たち、武器を手に闊歩する仮面を被った監視員、そして不気味に浮遊する監視カメラが見えた。

 さらにレイを愕然とさせたのは、刑務所の所長と対面した時だった。事前に提供された情報によれば所長はロジャー・マーシュという小太りの中年男性のはずだが、実際に現れたのはボブスと名乗る細身で若い男性だったのだ。身の危険を感じたレイは計画中止を要請する暗号——避難コード——を叫ぶが、それもまったく通じない。ここにきてようやく、レイは何者かの手によって自分が世界一のセキュリティを持つ謎の監獄に閉じ込められたことを悟る。

 自分を陥れた人物を突き止めるためにも必ずここを出ると誓ったレイは、監獄内にある“バビロン”と呼ばれる大広間で出会ったエミル・ロットマイヤー(アーノルド・シュワルツェネッガー)を協力者として迎え入れ、この監獄が地球上のどこにどのように存在するのかを探ろうとする——って、ちょっと待て!?

 監獄の正体を探るもなにも、テレビで大々的に放送していた予告映像で大海原に浮かぶ船の姿を流してたじゃん!? さらに脱獄しても、そこは海!ってナレーションを被せてたじゃん!? あれを見たら「閉じ込められた船からいかにして脱出するか」が物語のスタートだと思うじゃん!? でも実際の映画では監獄内部を観察・調査した上で、物語中盤になってようやく明かされることだったのだ!

 それまでレイは監獄は地上の何処かにあると考えており、屋外にさえ出ればなんとかなるだろうという雰囲気があった。しかし、いざ監獄の外に出ると辺り一面は海。これにはビックリ! どうするの!? ——なんてのが脚本上の仕掛けだったはず。どう考えても予告で流して良い映像じゃない(笑)。個人的には今って昔よりもネタバレを回避したがる人が増えている感覚があるんだけど、よくあんな予告作ったなあ……と思っちゃう。制作側の意向なのかなとも思ったが、アメリカ向けの予告だとちゃんと監獄の正体は伏せてあるんだよねえ。業界内では「日本国内に限れば多少ネタバレした方が動員につながる」みたいな感覚でもあるのか?

 そんな不意打ちのネタバレ発覚に面を喰らいつつも、映画はちゃんと楽しめたくらい面白かった。無駄なくトントンと話が進むからダラけないし退屈しない。エンタメ映画としても秀逸だが、近年のアメリカで社会問題化しているイスラーム系への差別に一石を投じる社会派としての面も素晴らしい。作中に登場する監獄は“危険人物を裁判所に通さず収容するための施設”である。第二次世界大戦中のアメリカで言えば日系人収容所のようなものだろう。そこにイスラーム教徒を登場させた上、最終的に施設の存在にNoを突きつけることで、イスラーム系を初めとした移民への弾圧を批判しているわけだ。この主張が出張ることなく、ちゃんと物語に染み込んでいるのが最高だよ。

 尤も、独房から出て自由に大広間を動ける時間があったり定期的な食事が出たりと、人権無視で集められた人材のわりには優遇されてるな……とツッコみたい感情も出てこないではなかった。しかも特別労働をしている気配もないんだよね。非人道的に感じられるのは懲罰における暴力ぐらい。ぶっちゃけ、規則正しい生活をさせているようにしか見えない(笑)。実際こんなところがあったらもっとヤバいことされると思うんだけどな〜とどうしても思っちゃう。

 あと個人的にはラッパーの50Centが出ていたのは面白かった。ハッシュ役の人ですね。役者業をやっているとは知らなかったので、50Cent本人なのかソックリな別人なのかずっと迷いながら観てた(笑)。わりと普通にイケますね。もしかしたら私が英語苦手なだけかもしれないけど、少なくとも身振り手振りに違和感はなかったよ。

 そんなこんなでツッコミどころはあったけど面白かったです。続編も作られたみたいだし、そっちも観てみようかな。でも一応、日本向けのCMは観ないでおこうと思う(笑)。

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