あらすじ:窃盗団・源氏蛍のメンバー5人が相次いで殺害された。そのうちのひとりと顔馴染みだった服部平次は、事件解決の糸口を掴むため京都に足を運ぶ。そこで源氏蛍が盗んだと思われる薬師如来の仏像を探しに来ていた江戸川コナンと遭遇、ふたりで京都の街を巡る最中、平次は幼い頃の初恋の思い出を語りだす。それはちょうど、薬師如来の仏像が忽然と姿を消したのと同じ時期の話だった。

ここが初期コナンの転換期か?

名探偵コナン ベイカーストリートの亡霊』に続く劇場版第7弾。人気キャラクターの服部平次(堀川りょう)が初めてメインの座についた作品ともあってファンからの人気も高く、公式が行った劇場版人気ランキングで1位を獲得したこともある。また、今作から作画がデジタルに完全移行し、それに伴って劇場版冒頭で流れる「『名探偵コナン』のおさらい」の作画も一新されている。アクションシーンではCGがふんだんに使われるなど、アニメーションの新時代を感じさせる1本だ。

 私はこの頃から『—コナン』離れを始めていて、これ以降の映画は劇場でも公開1年後のテレビ放送でも観ていないのがほとんどである。テレビシリーズどころか原作すら観なくなったのもこの頃。漫画以外にもお金と部屋のスペースを使いたくてね、必然的に1番お金と場所を割いている『—コナン』に白羽の矢が立ってしまったわけ。もうここまで人気があれば打ち切られる心配もないし、せいぜいあと数年で終わるだろうから、その時にまとめ読みでもしようかと思っていたのだが、それから15年経ってもまだ続いとるやないか!(笑)最新作の映画は史上稀に見る大ヒットになっているし、まだまだ終わりそうにないねえ。

 そんなこんなで『—迷宮の十字路クロスロード』である。さっきも書いたように公開からしばらくは観なかったけれど、2017年のテレビ放送で一応観たと言えば観た。でもものすごい流し見で話が全然わからなかったので、今回がほぼ初観賞ってことでも良いだろう。結論から言うと、うーん、どうだろうね、これ……。

 まず不満なのは服部平次の扱い。メインではあるが、全体的に江戸川コナン(高山みなみ)に一歩劣るみたいな描写が多い。推理は基本コナンの後追い。先立って複数犯の可能性を指摘した時にはコナンにバッサリ否定されるし、挙句「俺の初恋の人やから」というだけで容疑者のひとりを犯人候補から外そうとする始末。メインのわりにはおマヌケちゃいますか? 一応、1番オイシイところは持って行くけど、それが推理じゃなくて剣道というのも……。

 今回は平次の初恋にも焦点を当てているため、ラブコメ度も高い。事件の犯人と同時に平次の初恋の相手も探っていくことで、『名探偵コナン』特有の殺人ラブコメに仕上げているのは上手いところ。しかし、コナンファンからすると冒頭で鞠をついている女の子とそれを眺めるチビ平次の図を見ただけで「あ、これちっさい頃の遠山和葉(宮村優子)と平次やんけ」となるので、面白いかというと……? 和葉と判明するまでの過程もシンプルすぎていまひとつ盛り上がらないし、初恋の人が残した水晶玉の正体をコナンが言い当ててしまうのも物足りない。

 工藤新一(山口勝平)が毛利蘭(山崎和佳奈)の妄想(笑)でなく本当に出てきたのは胸熱だったし、仏像の在り処を示す暗号の図も『—コナン』らしかったけれど、平次メインと期待したらコレか……感はどうしても拭えない。圧倒的に出番が少なかった『—世紀末の魔術師』の方が活躍してたんじゃないかってくらい味気なかった。初恋、初恋とウッキウキしすぎな姿もなんだか痛々しい。事件の方もたいそう地味で、平次とコナンが遭遇する殺人事件が1件だけってのも寂しい。トリックも、あっそう……って感じである。私は歴史や地理がアレルギーレベルで苦手なので、それがメインになっているのも苦しい(まあこれについては私が悪いが)。

 今作は『—時計じかけの摩天楼』から一貫して劇場版コナンの監督を務めてきたこだま兼嗣の最後の映画である。初期ファンはこだま監督の作品を熱烈に支持する傾向にあり、こだま以前・こだま以後と言った形で語られる人も多い。デジタル化により映像のイメージもガラリと変わっているし、今思えばここがコナンの最初の転換期だったのかもしれない。そう思うのは、私がここから『—コナン』を離れたこともあるのだろうが。

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last up:2018/06/17