エアポート'75

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あらすじ:ロサンゼルス行きのジャンボ機・ボーイング409便は、西海岸一帯を襲った濃霧によって目的地の変更を余儀なくされていた。新たな行き先はソルトレーク。管制塔の指示を受けて着陸の準備を進めていたところ、突然コクピットの目の前に1機のプライベート・ジェットが飛び込んできた。それは大企業の指揮者・スコットが操縦するものだったが、彼は空の旅の途中に激しい胸の痛みに襲われ、機体を制御できなくなっていた。ジェット機はそのまま409便と正面衝突。パイロット2名とエンジニア1名のうち2名が死亡し、残る1名も重傷を負ってしまう。操縦者を失った409便の恐怖のフライトの行方は——。

客室乗務員と高校生、どちらに命を預けたい?

 1970年代のパニック映画ブームの火付け役とされる『大空港』シリーズの第2弾。初代と第3弾の『エアポート'77/バミューダからの脱出』は観たことがあるが、第2弾の本作は今回が初観賞だ。一般的な評価はよく知らないけど、「『大空港』シリーズは第2弾が1番面白い」という声を何度か聞いた記憶があり、初代と第3弾を楽しんだ身としては大変ワクワクしながら観賞を始めた。結論から言うと、シリーズ3作の中で1番微妙だった(笑)。

 プライベート・ジェットの直撃を受けたボーイング409便はコクピットの一部が大破。機体に空いた穴から副操縦士(ロイ・シネス)が空に吸い出され、飛び散った破片によってエンジニア(エリック・エストラーダ)が即死、唯一助かった機長(エフレム・ジンバリスト,Jr.)も血だらけの重傷を負う。機長はなんとか力を振り絞って自動操縦に切り替えたが、それ以上の細かい操作はできそうにない。機材もかなりの損害を受けており、その性能をどこまで出せるかもわからない状態だ。

 客室乗務員のナンシー(カレン・ブラック)は仲間の乗務員とともに機長を操縦室から避難させたあと、無線でソルトレークの管制塔に助けを求める。時間が経つと航空会社も事態を把握し、運行責任者のパトローニ(ジョージ・ケネディ)とナンシーの恋人で409便と同型のジャンボ機の操縦教官を務めた経験を持つアラン(チャールトン・ヘストン)が応援に駆けつける。彼らは無線からナンシーに指示を伝えるが、その過程で自動操縦の一部が機能していないことが発覚し、ナンシーに操縦桿を握るよう迫るのだった——。

 この展開を見た時、思わずまじか!? と叫びそうになった。そらパイロットやエンジニアの次には飛行機に詳しいだろうけど——、状況的には1番マトモな選択かもしれないけど——、でも、客室乗務員が操縦?? って思うよね。もちろんそれもあるんだけど、私の「まじか!?」は、それだけの意味ではない。この「まじか!?」の半分は『名探偵コナン 銀翼の奇術師マジシャン』のせいなのだ。

 このアニメ映画でも『エアポート'75』と同じように操縦者不在になったジャンボ機が登場し、作中のキャラクターが臨時に操縦士を務める展開がある。初めて観賞したのは1年ほど前のことで、「『大空港』みたいなことをやりたかったんだろうなあ」と思ったけど、“みたいな”っていうか完全に『エアポート'75』じゃん! 元ネタを発見できて感激です! ちなみにこっちで緊急の操縦士を務めるのは女子高生で、彼女に指示を出すのは男子高校生! 客室乗務員よりも圧倒的に無理のある展開だ!

 まあアニメだし、やりようによってはなんとかなるんじゃない? って思われるかもしれないけど、普通になんともできてなかった。ないわー(笑)、って思いながら観てた。『エアポート'75』よりも先にそっちを観賞していたから、ナンシーが操縦すると決まった時も「まじか!?……まあでも高校生よりはマシか……」と思った。『名探偵コナン—』のおかげでトンデモ度が下がったよ。

 とは言え、やっぱり客室乗務員にジャンボ機の運命を任せるのはちょっと非現実的すぎるきらいがあり、たぶん本作を微妙に感じた大きな原因もここにあるのだろう。初代と3作目は機体に異常が発生するけど機長は無事って展開だったから普通に観られたが。グロリア・スワンソンとヘレン・レディの本人の経歴を活かした演出も内輪ノリっぽくて好きじゃない。私はドリス・デイが『ケ・セラ・セラ』を歌ったことで有名な『知りすぎていた男』が好きなんだけど、それですらファンサービス的にデイに歌わせた点についてはあまり好きじゃないんですよね。本人の特技だから、客が喜ぶから、って長々やりがちでしょ。もっとも『知りすぎていた男』は歌と本筋の展開を繋がらせているからまだ良いけど、『エアポート'75』は無関係でしたからね。

 不満は多いけど、映像作品としてはすごく良く出来ていると思う。普通にハラハラできるシーンが多かった。たぶん編集が良いんだろう。ここぞというタイミングでここぞという場面をバッチリ見せてくれる。テンポが良くてダラけさせない。こないだテレビでたまたま放送していた『猛獣大脱走』なるヘンテコパニック映画を観たばかりだったので、余計にそう感じさせるのかもしれない。『猛獣—』はマニアの間ではB級パニック映画として有名っぽいけど、そうとは知らず普通に面白そうと思って観たものだから感情が死んでしまった(笑)。それと比べると『エアポート'75』は心が洗われるようだね! ナンシー役のカレン・ブラックの演技も良かったし。特に山をスレスレで回避するシーンの顔芸は最高だったぜ。

山が近づいた時のナンシーの顔が最高すぎて描いた絵

山が近づいた時のナンシーの顔が最高すぎて描いた絵

 アルフレッド・ヒッチコックのファンとしては彼女は『ファミリー・プロット』のヒロインのひとりという認識。たしか撮影所からの依頼で出演させた女優だったはずで、ヒッチコックはあまり気に入っていなかったらしいけど、私は結構ハマり役だったと思うし、これで彼女のことも好きになった。『エアポート'75』に彼女が出ているとは知らず、オープニングで彼女の名前がバーンと登場した時はちょっとテンションが上がったくらい。そのテンションにバッチリ応える演技をしてくれたので、ますます好感度がアップした(そうとは思えないヒドイ絵を描いてしまったけど)。いい女優さんだったね。

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