The 鑑識官 2〜新たなる8つの事件をタッチせよ〜

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ゲーム概要:トムキャットシステム開発・D3 Publisher発売のニンテンドーDS用のゲームソフト『The 鑑識官〜緊急出動!事件現場をタッチせよ!〜』の続編。南科研に所属する江波識子・識子のご先祖の査之介・江波家に取り付いている猫又の鑑太を始めとしたシリーズお馴染みのキャラクターたちと難事件を解き明かしていくミステリ・ゲーム。

傑作サスペンス・ゲーム

 安価なゲームを連続してリリースしていることで有名な『Simpleシリーズ』のひとつ。タイトルは『The 鑑識官2』だが、実際には『The 鑑識官』シリーズの3作目である。初代がPS2、第2弾がDS版で出ていて、第3弾のこちらもDS用ゲーム。要するにDS版では2作目だから“2”というわけだ。

 私は初代は未プレイだけど第2弾は手にとって結構気に入ったので、続く今作にも手を出した。前作は気に入ったとはいえミステリ的に見れば不備が多かったしシナリオも児童向けみたいな内容でちょっと物足りなさはあったんだけど、でもそれに目を瞑れるくらいにキャラクターが魅力だった。特に徹子おばさま(※主人公・江波識子の叔母)がね〜、やばいよこの人。そんなわけでキャラクター以外にはあんまり期待してなかったんだけど、見事に裏切られたよ。これはもうサスペンスの傑作のひとつと言って良いレベル。

 今作はとにかくシナリオがイイ。前半は前作譲りの児童向けっぽさのある事件だか、後半ではガッツリとサスペンスをやってくれる。特に後半の2話「悪魔の火遊び」「パンドラの匣」はかなりレベルが高い。進展するたびにゾクゾク、ワクワクしてた。ゲームでこんなに興奮したのは久しぶり。逆に言えば前作のふわっとした感じの雰囲気が好きだった人は、真面目にサスペンスやり過ぎじゃね? と不満を覚えるかもしれない。そんな危惧を感じるくらいには扱われる事件の雰囲気が違う。でもキャラクターはみんな前作そのままなので、ちゃんと『The 鑑識官』らしさは保たれている。このバランスは素晴らしい。

 前作では“充分な情報が提供されていない段階で推理を要求されることが多い”っていう欠点もあったけど、今作ではそれがだいぶ改善されていて、ミステリとしての質もグンと上がっていた。グラフィックのパターンも少しばかり増えており、画面上のマンネリ感が減少しているのも好印象。前作では真正面の立ち絵のみで顔の表情がわずかに変わるだけだった徹子おばさまも、今作ではちょっと身体を斜めに向けてくれたりするわけ。おかげで前作ではよく見えなかった後ろ髪もしっかり見えてテンションが上がる。表情も豊かになって、虚空を見上げながら電話をかける姿にもぐっと来たが、メガネ×おたま×エプロンで登場した時はうわー!? って叫びそうになるくらいヤバかった。

 タッチペンを使う機会も増え、ゲーム性も上がったと思う。ミニゲーム的なイベントもあって、これがなかなか面白いんだ。鑑太(※主人公の家に取り憑いてる猫又)をぶん投げるゲームは突拍子もなくてびびったけど(笑)、シューティング・ゲームはすごく自然な流れで開始されて、上手いことやるなあって感心した。ただ、ちょっと難易度が高い気もするが。失敗したらゲーム・オーバーになっちゃうみたいだし、推理やサスペンスだけを求めてる人は煩わしさを感じるところもあるかも。でも個人的には遊び心があって好き。

 前作では全シナリオをノーミスでクリアすると登場するおまけシナリオがあったので、今回もそれがあることを前提にプレイ——ミスるたびに電源を落としてリプレイ——していた。しかし『The 鑑識官』だとこれが結構手間なんだよね。例えば同じミステリ・ゲームでも『逆転裁判』だったらいつでも好きなタイミングでセーブできたから、絶対に間違えられない場面がきたら直前でセーブすることが可能だった。しかし『The 鑑識官』ではセーブは基本的に科研の屋上と地図上の2箇所でしか行えず、推理シーンではペナルティが科せられる問題が連続して出題されたりするので、ミスったタイミングによってはやり直そうとするとかなり巻き戻されてしまうのだ。

 続編も同じシステムだろうから、なるべく最短でおまけシナリオに辿り着けるようこまめにセーブしていたのだが、「悪魔の火遊び」のどこかでミスっていたらしく、終了後の評価がノーミスを意味する“完璧”にならなかった。すぐにやり直そうかとも思ったけど、このシナリオが終わったらあと1話だけだし、とりあえず全クリしてからでいいかと最終シナリオをノーミスでクリアしたら、なぜかおまけシナリオも出現した。……あり? 調べてみたら今回はおまけシナリオ出現の条件がちょっと下がって、全シナリオでノーミスじゃなくても大丈夫になったらしい。とは言え、1話だけ“完璧”じゃないのもなんか癪なので、結局は再プレイして完璧評価をゲットしておいた。シナリオが良かったからそんなに苦じゃなかったよ(笑)。

 前作の『The 鑑識官』はカプコンの『逆転裁判』シリーズの廉価版みたいな感じだと思ったけど、今作は完全にひとつの作品として確立している感じがあった。ダウンロード版は前作のみ配信中らしいけど、今作も配信すべきだと思いますね。そして“3”が出てくれたらとても嬉しい。

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