あらすじ:世界中から厳選された食材を用いて極上の料理を提供している一流レストラン。本日のお客様は舌の肥えた美女・セフォネ様。彼女の舌に見合う料理として運ばれてきたのは、“現世の罪人”たち——。『トガリ』『クロザクロ』などで知られる漫画家・夏目義徳が贈る異色のグルメ漫画。

まさに極上の1品

 夏目義徳がnoteで公開している漫画。全18ページで最初の6ページまでが無料、それ以降はnoteを経由して100円を支払うことで読むことができる。いわゆるカニバリズム的な漫画で、作者はR18奨励としている。無料分を読んで抵抗感がある人には薦めづらいが、反対に無料分が大丈夫な人には全力で薦めたいレベルの作品だ。

 『トガリ』を愛読していた者であれば、初っ端から登場するセフォネ様を見てすぐに『トガリ』のエマ様を思い出すだろう。鋭い眼光、石原さとみのような厚ぼったく色気のある唇、全身から漂う上品さ、ああ、懐かしのエマ様そのものだ。

 夏目さんは一時期絵柄を幼くしていたけれど、私は夏目さんの大人っぽい絵柄が好きだったんで、正直ちょっとショックだったんだよね。『トガリ』の頃のエマ様みたいな絵はもう描かないのかなあ……なんて思っていたが、セフォネ様を見るとまだまだ描けることが分かってテンションが上がる。尤も、まだ色気のある絵を描けることは『咎狩 白』3巻の神々しいエマ様を見てわかっていたけれど、このセフォネ様はあのエマ様をも超越しかねないほどに美しいぞ!

 夏目さんは『トガリ』1巻で「僕は女の子を描くのが下手だ」と書いていた気がするが、ここまで色気のある女性を描ける人ってあんまりいないんじゃないだろうか。特に本作で度々映し出される唇の肉厚感はなかなか表現できるものではない。唇って漫画だと真っ先に省略されるパーツだから描き慣れている人も少ないだろうし、上手く描ける人となるとかなり限られるだろう。唇を舐める舌も、隙間から覗く歯も、すべてが美しい。

 そんなセフォネ様が現世で罪を犯した者をパクパクモグモグ食す姿をひたすら拝む漫画だが、17ページ目のウエイターのセリフで、アーネスト・ヘミングウェイ作『日はまた昇る』を読み終わった時と同じ感覚が雷のようにドカーン! と襲ってきた。あの小説の最後の1文を読んだ時「こ、これで終わり!?」とひどいモヤモヤを覚えたが、風呂あがりに目に入った本とそのタイトルを見て「あああっ! そういう意味かッ!」と腑に落ち、名作が名作たる理由がわかった気がした。あの感覚をウェブ漫画で、それもたったの100円で再び味わえるとは! もう大好き。

 しかしウェブ配信、しかも作者が個人で発表している漫画ということで、いつか読めなくなるかもしれないという不安があるのがネックだ。紙の本で育った私は、まだ電子書籍への不信感が払拭できずにいるのだ。せめて保存しておけないかな……と思ったら、なんと購入後にメールで全ページが送られてきた! ええっ、マジですか?! これ、保存しちゃっていーんですか!? note最高だぜ!

 まずはこちらで無料分で読んで、グッときたのであればぜひ購入しよう。たったの100円、買わない手はないだろう。

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last up:2017/12/10