あらすじ:日本の東京湾に突如現れた謎の巨大生物・ゴジラ。それは、自衛隊からの攻撃をものともせず、東京都を襲い始めた——。テレビアニメ『新世紀エヴァンゲリオン』で知られる庵野秀明が現代日本を精密にリサーチして製作した、ニッポン(現実)とゴジラ(虚構)の物語。

ゴジラシリーズを知らない人間の感想

 ちょっと前に映画館で観賞。私は『ゴジラ』シリーズをまったく知らないのだが、そんな一見さんでもなかなか楽しめた。というか、一見さんだからこそ楽しめた部分も大きいのかもしれない。

 作品全体はとにかく『新世紀エヴァンゲリオン』っぽい。映像がいちいちエヴァっぽくって、「こんなことしちゃって大丈夫なのか?」と心配になった。特にびっくりしたのは長谷川博己が「作戦名が長いなあ……。でも『ゴジラ凍結作戦』じゃ子どもっぽいし……。『ヤシオリ作戦』でいいか」(※うろ覚え)とか言い出した時。もはや職権乱用の域ですよ、これは!(笑)スタッフロールには安野モヨコがいるし、『ゴジラ』ってブランドでよくここまで好き勝手させてもらえたよな。ネットを見る限りでは生粋のゴジラファンからも概ね好評みたいだけど、ずいぶん挑戦的なことをするもんだと思った。エヴァでボロクソ貶された人間のメンタルは伊達じゃない。

 プロデューサーか誰かのインタビューやネットの感想では「大人向け」「子どもはついていけない」と言われているけど、私はむしろ「子どもの頃に観たら大興奮だったろうなあ」と思った。単純にゴジラはデケーくてカッコイイし、ヘリと戦車もチョー迫力あるし、それに対するゴジラの反撃も最高にイカすから。対策本部の会話がわからないのは大人だって同じだし、そもそもあのシーンはなんとなくの雰囲気だけわかればいいって作りだろう。そういう「なんとなく消化」ってのは子どものほうが得意なんじゃないかな。少なくとも「ゴジラはどうなるのか」って興味を引き続ける映像は作れてたと思う。ただゴジラのデザインは少なからずグロテスクだし、あれがダメな子は確かにいそう。

 キャストがめっちゃ多いってのは宣伝文句のひとつだったみたいだけど、私はまったく知らなかったから、チョイ役で色んな人がバンバン出てくるのに面を喰らった。私はドラマをあまり観ないし、映画館にも行かないし(今回が十数年ぶり)、雑誌も読まないし、でもテレビやネットニュースはわりと見るから、「ほんのり知ってる」くらいの有名人がすごく多い。だからこの映画で次々出てくる顔を見ては「あっ、この人見たことあんな、えーっと、誰だっけ?」と考えることが多くて、正直疲れた。1番困ったのは斎藤工。確実にどこかで見た顔なのに誰なのかまったくわからなくて、ずっと頭の隅に引っかけたままだった。

 映画自体の高評価に反するように評判がイマイチな石原さとみだが、私はそんなに悪いとは思わなかった。もっとも私は石原さんがけっこう好きで、一時期はまったく興味のない雑誌でも石原さんが載っていたら買っていたぐらいだから、無意識に甘い目で見ている可能性もなくはないけれど。英語の発音がネイティヴっぽくないとは言うが、日本人でネイティヴとそうでない発音を聞き分けられる人ってそんなにいるか? 英語と親密な関係を持つ欧米人ならともかく、英語に慣れてない人が多い日本であんだけ流暢な英語をネイティヴっぽくないって言う人が多いの、すごく不思議な現象だと思う。邦画なんだしそれっぽく喋れてりゃ充分じゃん。日本語に混ざる英語の発音は単に演出の失敗ってだけで、石原さん自体はそんなにダメじゃないと思うんだよね。微妙な点といえば大統領を狙ってるわりには遊んでそうな雰囲気が出ちゃってること(石原さんならもっとカタい役作りができたと思う)と、唇が潤い不足に見えたことか。石原さんてたまに上唇がカサカサしてそうに見えるよね。

 あんまり評判がいいとつまんねーと思った時に辛いから戦々恐々としながら観たが、思いの外楽しくてよかった。

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last up:2016/09/02