アルフレッド・ジョゼフ・ヒッチコックは、1920年代から1970年代まで活躍したイギリス生まれの映画監督。1925年から1939年までイギリスで活躍した後、アメリカの敏腕映画プロデューサー・デイヴィッド・O・セルズニックの誘いを受け、1940年からはハリウッドに活動の場を移した。
 デビュー当初はメロドラマを多く撮っていたが、サスペンスもので手応えを感じるようになると、それを中心とした映画作りをするようになった。結果的にキャリアのほとんどをサスペンスに捧げたこと、またその多くが傑作だったことから、いつしか「サスペンスの神様(The Master of Suspense)」の異名がつけられるようになった。
 ヒッチコックは1980年に80歳でその生涯を終えた。しかし彼が遺した多くの映画は、今日も人々に強い感銘を与えて続けている。

カメオ出演

 ヒッチコックは自らの映画にちらりとその姿をみせてくれることで有名である。彼が初めて「セルフ・カメオ出演」を行ったのは、1926年に発表された『下宿人』でのこと。エキストラの人数が足りず、その穴埋めに監督自らも協力せざるを得なかったためといわれている。しかし同作が大きな成功を収めると、その縁起を担ごうとたびたびスクリーンに映るようになった。
 この話は彼の名前と同時に世の中に広まり、多くの観客が「ヒッチコック探し」を楽しむようになった。ヒッチコックは観客が自分を探すことに夢中になるあまり映画の鑑賞がおろそかになることを恐れたが、かといって観客の楽しみを奪うことは忍びないと考えた。そこで後年は映画鑑賞の妨げにならないよう、序盤に現れることを心がけたという。