ゲーム概要:クライマックス開発のニンテンドーDS用のゲームソフト。魔王に攫われた王子を救うべく、多数のトラップやモンスターに囲まれたエリアをかいくぐって魔王城を目指すアクション型パズルゲーム。各エリアには異なるクリアー条件が設けられており、それを満たせば次のエリアへの扉が開く。

操作性が悪くてイライラするゲーム

 喩えるならば“パズル要素を濃くしてダンジョンを簡略化した『ゼルダの伝説』”といったところか。以前プレイした『ゼルダの伝説 大地の汽笛』はニンテンドーDSの特性であるタッチペン操作を活かしたシステムで非常に遊びやすかったが、本作の方はその特性をまったく活かせていない。

 まず「攻撃」と「武器を持つ・離す」を同じタッチ操作で行う設定のため、攻撃中に誤って武器を落とすことが多い。接近戦の時はそれが顕著になる。タッチペンとボタンの併用も可能なので移動はタッチペン+攻撃はボタンという使い方もできるが、攻撃はゲーム機の右側に配置されているAボタンで行うので、右利きだと併用での操作は難しい。ならばボタンオンリーでプレイしようと十字キーを押すと、アニスがクオータービューの画面を馬鹿正直にまっすぐに進み出す——つまりエリアを斜めに突っ切って行くんだな。おかげでプレイ中はほぼ常に斜め入力で移動しなければならない。

 そうした操作性の悪さに拍車をかけるのが、アニスの移動速度の遅さである。鈍いアニメーションとドラえもんみたいな足音も相まってかなり遅く感じる。特にジャンプの動作はひどく、高さのわりには距離が伸びず落下速度も遅いため、着地点や着地のタイミングを把握しかねることが少なくない。おまけにモンスターを始めとした動く素材とフィールド素材の余白に10ドットくらいの差があるから、モンスターに飛び移る感覚で地面に飛び移ると落下するし、地面に近づく感覚でモンスターに近づくと思わぬダメージを受けることになる。

 加えてこのゲームではダブルスクリーンの特性も活かせていない。まず下画面(タッチスクリーン)でエリアを選択すると、そこにエリアの全体像が表示される。全体像はこのときにしか確認できないから、視線を下画面に集中させなければいけない。しかし次の瞬間には上画面にエリアのクリアー条件が表示されるため、すぐに視線を上に移動させる必要がある。さらにその数秒後にはゲームがスタートしてモンスターやトラップが動き回るので、クリアー条件を確認したらすぐに下画面に視線を落とすことを要求される。つまりゲームを始めるまでに下画面→上画面→下画面と、3度視線を移さなければいけない。

 また、相棒のククリがくれるヒントが表示されるのもやはり上画面である。しかも小休止(PAUSE)中は表示されないので、モンスターやトラップがうようよ動いているそのときに下画面から目を離して確認せねばならない。これはどう考えてもダブルスクリーンを持て余している。ニンテンドーDSの2大要素のどちらも活かせていないのに、なぜこの機種で発売したのか理解に苦しむ。

 サブ要素の宝石集めとタイムアタックにも不満がある。宝石集めのメインテーマは「借金返済」だが、ここでは借金を完済するたびに新たな借金を背負わされる。しかも返済のごほうびは長いうえにつまらないイベントと特別エリアだけという貧相さ。ほかにも「ランドメーカー(※エリアを自作できるスペシャルメニュー)のパーツの購入」と「アジトの改築」という使い道もあるが、前述した操作性の悪さもあってエリアを自作したいとは思わないし、メニュー画面に表示されるだけのアジトが改築されてもべつに嬉しくない。改築が実現する金額も不透明だし、まるでやる気が出ない。

 タイムアタックは「ブロンズ」「シルバー」「ゴールド」の3つのランクに分けられており、ランクごとに異なるエンディングが観れたり、隠しエリアをプレイできるようになる。しかしタイムの設定がかなりギリギリで、最高ランクのゴールドを穫るには1秒のミスも許されないんじゃないかと思えるエリアもあるくらい。しかもアイテムの入手に2~3秒、ゴールの扉が開くまでに5~6秒ほどかかるのだが、このあいだは1歩も動けないにも関わらずカウントは止まってくれない。やる気を起こす気ゼロである。ちなみにブロンズランクのエンディングとランクなしのそれはまったく同じだった。つまりブロンズランクは実質ランクに値しないのだ。これもひどい話だと思う。

 シンプルなエリア構成、頭をひねるパズル、メインストーリーとはべつに楽しめる宝石集めにタイムアタックと、初心者から上級者までが楽しめる可能性を秘めた要素がたくさん揃っているのに、操作性と難易度が雑なばっかりに、その良さはすべて失われてしまっている。上手くやれば老若男女が楽しめるものになっただろうに……とたいへん惜しく感じるゲームであった。

 ところで、パッケージにはずいぶんたくさんのキャラクターが描かれているが、アニスとククリ以外はほとんど出番がない。アニスとククリと王子以外はいらないだろと思うくらい。また相棒のククリのプレイ中の呼びかけがかなり鬱陶しい。頻繁に名前を呼んでくるが、その大半がなぜか不機嫌なのだ。危険が迫っている時に「危ないっ」と忠告してくれることもあるが、こちらが攻撃中で相手が攻撃できない時か、すでに攻撃を察知して盾を構えている時にいうことがほとんどなので、役に立っているとはいいがたい。上述した上画面に表示されるヒントも微妙なのが多いし、端的にいって愛着を持ちづらい。終盤で「今生のお別れです……」的な台詞を発した時もなんの感慨もなかった。キャラクターに限ればわりとクソゲーだと思う。

last up:2015/09/12